このコンテンツでは、不二家ファミリー文化研究所が独自に行った、さまざまなアンケート調査の結果を、毎月皆さんにお届けしています。
今回不二家ファミリー文化研究所が行ったのは、30代〜50代の既婚女性200名※を対象とした「日本の各地域の人々の暮らし」に関するアンケート。みなさんが過ごした地域の特色や暮らしから見える日本に暮らす人々の「習慣」や「文化」などを調査結果とともに紹介していきます。
第12回は、「方言」です。
※200名:地元(3歳〜18歳まで過ごした地域)47都道府県から4〜5人

はじめに、地元に方言があるか聞いてみたところ、84%の方が「ある」と回答しました。
方言が「ある」と回答した方の割合を地方ごとに見てみると、「九州・沖縄地方」97%の方がもっとも多く、以下僅差で「中国・四国地方」95%、「北海道・東北地方」93%と続いています。反対に圧倒に少なかったのは「関東地方」49%でした。
地元の方言があるという方に、その方言の名前を教えてもらいました。

東北地方と近畿地方では、「東北弁」「関西弁」のように、広い地域の複数の方言を大まかにまとめた呼び名が複数挙げられています。北海道の「北海道弁」や長崎県の「長崎弁」のように、都道府県名をそのまま方言の名前としている地域や、山形県の「新庄弁」「庄内弁」「置賜(おきたま)弁」のように細分化されている地域も見受けられます。
次に共通語で表すことが難しい方言について聞いてみました。

石川県の「きんかんなまなま(道路が凍ってツルツルになっている様子)」、鳥取県と岡山県の「しわい(しわしわで噛み切れない)」、広島県の「すいばり(木材のささくれ、トゲ)」、長崎県の「あとぜき(開けた扉は閉めましょう)」、沖縄県の「ちーちーかーかー(ぱさぱさした物を食べ、口の中の水分が奪われた状態)」のような、具体的な状態が単語化されていて共通語だと説明が必要な方言がちらほら見受けられました。

次に、地元でのご自身やご家族が話す一人称について聞いてみました。すると、ご自身、母、祖母、祖父が使う一人称では「わたし」が一番多く、夫、父は「おれ」が一番多い結果でした。

地域別に見ると、「わたし」、「おれ」は各都道府県から1人以上いましたが、次いで多かった「うち」は西日本地域、「わし」は広い地域ながらも比較的西日本に多く、「おら」は東北、北関東の他に静岡、島根、愛媛、高知で使用されているようです。
次に例文を挙げて、方言ではどのように言うか聞いてみました。

「わたしはあなたのことがとても好き」(例文)と地元の言葉ではどのように言うか聞いてみたところ、「例文と同じ」48%、「例文と違う」52%という結果になりました。
「例文と同じ」と回答した方の割合を地方別で見てみると、「関東地方」の割合が非常に高いのに対し、関西以南の割合が低いことがわかりました。
実際どのような言葉になるのかを次の項目で紹介します。

※()内 回答者の地元
【東北地方】
・わはおめぇのことがたげ好きだじゃ。(青森県青森市)
・わたしはおめはんのことがすげぇ好き。(岩手県盛岡市)
・おらあんだのごどすんげー好ぎだ。(宮城県石巻市)
・おらおめのこど好ぎだ。(秋田県秋田市)
【関東地方】
・わだすはおめえのことがすごく好きだべ。(茨城県つくば市)
【北陸・中部地方】
・わたしはあんたのことがとても好きやちゃ。(富山県婦中町)
・おらはおまんのこんがめた好き。(山梨県甲州市)
・わたしはあんたのことがでら好きや。(岐阜県岐阜市)
・わたしゃあんたのことがばか好き。(静岡県静岡市)
【近畿地方】
・わたしはあんたのこと好ききってく。(三重県尾鷲市)
・うち、あんたのことめっちゃ好きやで。(大阪府泉佐野市)
・うちはあんたのこと好っきやで。(奈良県生駒市)
・うちあんたのことめっちゃ好きやねん。(兵庫県淡路市)
【中国・四国地方】
・わたしあんたのことがすごい好きだで。(鳥取県鳥取市)
・わしゃーあんたがぶち好きだけー。(島根県江津市)
・うち、あんたんことが好きじゃ。(岡山県岡山市)
・わたしは、あんたのことがほんまに好きなんじょ。(徳島県徳島市)
・わたしはあなたのことががとても好いちゅう。(高知県高知市)
【九州・沖縄地方】
・うちはあんたば、がばいす好いとー。(佐賀県佐賀市)
・うちはあんたのことがいじ好きバイ。(長崎県長崎市)
・わっちはあんたんことしんけん好きやわ。(大分県別府市)
・わいはおまんさーのことがわっぜ好きやっど。(鹿児島県鹿児島市)
・わんよやーのことしに好きさ。(沖縄県沖縄市)

全体的に、関東を境に違いが見られました。
自分を指す一人称を見てみると、東側では「おら」、西側では「うち」が多く、相手を指す二人称は東側では「おめえ(おめ)」、西側では「あんた」が広く使われているようです。
次に強調語を見てみると、北海道・東北地方と関東地方は「すげー(すごく)」、北陸・中部地方と関西地方は「めっちゃ(めちゃ)」が目につきます。中国・四国地方では「めっちゃ(めちゃ)」と共に「ぶち」が使われているようです。九州・沖縄地方は、佐賀県の「がばい」、大分県の「しんけん」、宮崎県の「てげ」、鹿児島県の「わっぜ」のように、県特有の強調語が使われている地域が複数ありました。
今回は「方言」についての調査をお届けしました。
方言は地域ごとに発達した言語です。その土地に根差した文化や風習の中で発達してきた言葉は、人間味があって温かく感じますね。
さて、調査で関東の半数の方が「方言がない」と回答していましたが、例えば「片す(片づける)」「おっかない(恐ろしい)」などは、東京方言という立派な方言だそうです。実は8割どころか全ての地域で方言を使っているのかもしれませんね。調べてみると面白い発見がありそうです。
次回は「郷土料理」についてお届けします。お楽しみに。